ある少年の告白が教えてくれた人生哲学
善悪は時代と共に変化する
「男女が結ばれ子供を作るのがキリスト教の教え。キリスト教徒の務めを果たせなければ人として認められない。」と、牧師の父は男性を好きになってしまった息子を受け入れようとしませんでした。
この映画って、同性愛がどうこうではなく、キリスト教の教えがそもそも正しいのかってところに着目するべきじゃないかと思うんです。私が無宗教だから簡単に言えることでキリスト教だったらめっちゃ反感を買いそうですが。
アメリカには、キリスト教を信仰する人が人口の8割近くいるそうなので、 キリスト教の教えは絶対的であって、キリスト教の教えがどうこうってことはまず考えられないことは確かだけど、そこに問題提起しているのがこの映画のすごいところ。
日本人が見るとそれほど感情を揺さぶられずにラストまで見れますが、自分がキリスト教徒だったらどう思うか?っていうのを意識してみるとまた違った感想を抱くと思います。
キリストが「同性愛は禁止!」って言ったから同性愛はよくないものと思っているだけで、じつは他に同性愛が認められない理由ってないんじゃないですか?っていう内容なので、同性愛者が見て共感する映画というよりも、当事者ではない人に見てほしい映画です。
日本は江戸時代まで「男色」という男性同士が特別な関係を持つ文化があり、日本は同性愛に寛容な国だったんです。
なのに現代日本から男色の文化が失われているのは、キリスト教が日本に伝来したからだといわれています。
大陸からやってきたアメリカ人に男色は良くないことだと教えられ禁止するようになり、日本人はアメリカ人と同じように「同性愛は良くない」と考えるようになりました。
キリスト教徒のアメリカ人は、子供を作らない同性愛者は、窃盗犯や薬物依存者と同じで矯正されなければいけないと教えられます。その教えが日本にも伝播して今に至ります。
しかし自然界の法則でいうと、動物界には必ず一定数同性愛の個体は存在することが確認されているのです。
科学の進歩と宗教の変革が同じスピードではないのは仕方ありません。日本に住む同性愛者が結婚できない理由としてたびたび挙がる、日本国憲法第24条によって「男女ではないから結婚が認められない」のも同じようなこと。ゆっくりですがいつか追いつく日がくるでしょう。
キリスト教徒の父に同性愛の息子の治療を託された医者が主人公にむかって言ったセリフに監督の考えが集約されているような気がしました。
「父親はあなたの同性愛が治療をして治ることを願っているけれど、あなたは健康な普通の青年よ。私からはご両親の間違いを指摘できない。」
ある少年の告白の基本情報
原題 | Boy Erased |
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公開日 | 2018-09-24 |
言語 | 英語 |
作品時間 | 115分 |
出演 | Lucas Hedges, ニコール・キッドマン, ラッセル・クロウ, ジョエル・エドガートン, ジョー・アルウィン |
監督 | ジョエル・エドガートン |
あらすじ
アメリカの田舎町。牧師の父と母のひとり息子ジャレッドは、あるきっかけから自分が同性愛者であることに気づく。戸惑った両親は矯正セラピーへの参加を勧めたが、それは驚くべきプログラム内容だった。自らを偽って生きることを強いる施設に疑問と憤りを感じ、ジャレッドは遂にある行動を起こす…。
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